560SEL
2013-09-09
「560SEL」
ずいぶん前の話、
まだ10代の頃の自分にとってのイメージでは、「560SEL」高級車の代名詞とも言える車でした。
憧れていた、とか、夢の車だった、というわけでもなかったのですが、バブル時代に沸く日本において、街にはたくさんの560SELを見かけ、それにつれ、「時代の覇者」のイメージが強かったのです。
そして、560SELといえばこの色、カラーコード904、ミッドナイトブルーではないでしょうか。
ソリッドな紺色のこの塗装。
当時の塗装は塗膜が厚くて強靭で、25年たった今でも磨きさえすれば、新車と変わらない輝きを見せてくれます。
メタリックカラーが大半でクリア塗装で仕上げられた現代の車と比べると、その直球で深い色を本当に美しく思います。
W126以降の車両のW140やW210にもこの色は使われていきましたが、このW126が一番似合う色だったと確信しています。
巻き上げた砂や雪においても後方車両からの視認性を損なわない、大きな凹凸のテールランプ。
窓のモールの部分はくすみが出ることが多いですが、この車両は驚くほどきれいでした。
よほど保管状態が良いのでしょう。
筆者は20代のころ、シュテルン系のディーラーに勤務をしておりました。
そのころ、少し無理をしてクーペタイプの560SECに乗っていたのですが、当時から10年以上たった今、今日改めてこの同じW126の560SELに乗ってみると、その味わい深い乗り味に感激いたしました。
この560SELは、電子制御パーツだらけの車になる前の最後の時代の車、といっても良いでしょう。
メカニカルフューエルインジェクションの「CIS-E」が作り出す、マイルドで、アナログで生き物のようなエンジンフィールとかすかに聞こえる吸気音。
古くてもやはり「Sクラス」らしさを存分に感じることの出来る、足廻り。
少々へたりと疲れを感じる足廻りにも、いとおしさを感じてしまいます。
ハンドルのレザーは現代のシボ加工の多い革とは違い、これがもともと動物の皮だったんだな、と感じられるような、手に吸い付くようなフィーリング。
少しの間のドライブでしたが、20代のあの頃の自分には気が付くことが出来なかった、「W126」の魅力をたくさん発見することが出来ました。
新型のSクラスW222が販売開始をした今、4世代前の車となるW126。
これからも、コンディションの良い車体が、永く残ってくれることを心より祈ります。
この車両もお客様に納めさせていただいてから、今日で7回目の車検を迎えました。
いつも丁寧に、大事に乗っていただいていることを、とてもうれしく思います。
ありがとうございます。
古い車を大事に乗られている方も、クレシェンドは全力でサポートをさせていただきます。