長寿Gクラス
2014-11-12
ゲレンデヴァーゲンの通称で親しまれる、メルセデスのGクラス。
初代 W460が1979年に発売されたのが、35年前。
二代目となるW463が1990年に発売を開始されてからも、早24年。
W460
もともと軍用車として企画されたこのゲレンデヴァーゲンも、初代から今まで、特別大きなスタイルが変わることもなくいまだに多くの人に愛される、稀有な存在です。
W463
高級SUVとしても人気の『Gクラス』ですが、2022年まで生産が継続されることが決定しました。
40年を超える長寿モデルとなりますね。
長寿といえば『Sクラス』は1972年から継続されているので現時点で42年。
しかし、なんといっても長寿といえばワーゲンにかなうものはありません。
1938年から2003年まで生産され、累計2152万9464台が生産されました。
なんと65年です。
日本の正規メルセデスディーラーでのメカニックを5年間経験した後、ワーキングホリデービザを使用し、英語もろくに分からないままカナダに渡った筆者が、ドイツ移民のボスが経営するオールドメルセデスを多く扱う整備工場に入社し、始めて整備をしたのが古いワーゲンでした。
「英語も分からんのに本当にメルセデスがちゃんと直せるのか?」
というボスのメッセージだったのでしょう。
最初は日給50ドルだったカナダでのメカニック生活も、少しずつ英語を覚え、楽しすぎるコミュニケーション(飲みニケーションともいいますか)を経て、一年後には日給150ドルをもらえるようになりました。
8時に出社して、9時半に30分のティータイムが始まり太いウインナーをトースターで焼いて固いドイツパンが振舞われます。
お昼休みは12時から90分。
15時にはコーヒーブレイクが30分あって、夏は大体アイスクリームが出てきます。
そして17時よりずいぶん前から、近所の工場で働く人たちや、ボスの友達などがビールやジャーマンブランデーなどを持ち込み毎日15人くらい集まってゲラゲラ笑って大騒ぎの楽しい毎日でした。
冬には、ボスにティーやコーヒーにどぶどぶとブランデーを注がれ、ランチを食べているとビールの栓が心地いい音を立てて開けられて、テーブルに置かれました。
もちろん休んでばっかりいるわけではなくて、作業スピードは早い早い。
整備マニュアルに載っているようなやり方ではなく、時には作業をいろいろショートカットして、ぐんぐん仕事をこなします。
当然、最終的に交換する部品がちゃんと交換されています。
こういう仕事に仕方は、とても勉強になりました。
どれも、日本では考えられないお仕事風景でしたが、郷に入っては郷に従え。
それで、50年以上きちんとビジネスが成立しているのですから、こちらがどうこう言う問題ではありませんでした。
なんにしろ、ドイツも、カナダも、楽しい国です。